mismith
宇都宮の最終日。横丁にある居酒屋に入りました。
8席ほどのコの字型のカウンター席があり、女将さんがその小さな空間を一人で切り盛りしているお店でした。店内には折り紙で作られた可愛らしい飾りや、琉球ガラスのような綺麗なコップ、栃木で採掘された石を使ったコースター、そして美しい柄の暖簾が厨房を仕切り、香り付きのおしぼりがさりげなく用意されていました。女性ならではの細やかな配慮が随所に感じられ、温かみが溢れる空間でした。
女将さんを中心としたコの字型のカウンターは自然とお客さん同士の会話を生み出していました。そんな雰囲気の中で家庭料理と地酒がさらに美味しく感じられ、軽く飲んで帰るつもりが気がつけば深夜2時。宿に戻る頃には、日付がすっかり変わっていました。
長居してしまったのは、途中で入ってきた常連さんとたまたま訪れた日本酒好きの若い旅行者と意気投合したからです。
旅行者は若いのに日本酒を目的に旅をするほどの熱心な愛好者で、そんな彼に女将さんも常連さんも嬉しそうに話しかけ、日本酒の話題で盛り上がっていました。3人の楽しそうな会話を聞きながら、私も自然とその和やかな雰囲気に引き込まれ、楽しい時間を過ごしました。
常連さんや女将さんからもたくさんのサービスをいただき思った以上に飲んだのに、支払った金額は驚くほど少なかったです。「安すぎません?」と聞くと、「楽しいからいいよ」と言ってくれていた記憶があるような、ないような。
漠然と楽しかった記憶は残っているものの、店内の折り紙やコップといった細かい記憶は、スマホで撮った写真を見返して思い出しました。忘れかけていた記憶を蘇らせてくれるのは、やはり写真の力なのだとお酒が教えてくれました。